ちよこちゃんと亀ちゃん

ちよこちゃんはうちに勤めていたかづみちゃんの奥さんで

正式名称はきよこちゃん

いなかに住んでればかきくけこはかちくけこだったり

さしすせそはさすすせそだったり

特有の変換機能があったりするから

やっぱりきよこではなくてちよこちゃんなのだ

おうちが大好きな人でお出かけを好まない

家の周りに季節ごとにたくさんの花が咲き乱れて

お手製の温室ではみかんがなってたり

蘭の花だって丁寧に手入れして毎年みごとに花を咲かせていた

うちの事務所の頂きものの蘭は毎年葉っぱしか出ないと言ったら

持ち帰って花を咲かせて持ってきてくれて、それは毎年の恒例行事

食べ物だって山や畑で採れたものを干したり粉にしたり

きちんと保存して日々を過ごす

どくだみのお茶とかウコンにヤーコン、栗をこしたお菓子も絶品

ターシャデューダーだかなんだか

イギリスあたりのおばあちゃんが脚光を浴びていたりしたけど

表舞台に出ずともターシャのような人はここにだっている

お互いに庭のこぼれ種の花をもらいっこしたり

お庭を見せっこしたり

そんな人がいなくなったのがさびしい

亀ちゃんはうちにつとめていてやめちゃった人

仕事中にちょっと様子がおかしいので病院に行くようにすすめたら

ちょっと難しい病気ってことが分かって

それからほどなくしてうちをやめることになった

やさしい亀ちゃんのことだから

うちに迷惑かけないようにってそうしたんだと思う

同時に頑固な人だからいくら言っても耳を貸さなかった

下水工事が頻繁だったときに

葦の葉っぱをはらりと穴に落として埋めてよし(葦)的なこと言って

信心深いことをいる地元のおばあちゃんにとても評判が良かった

細身だったから家と家の間がすごく狭くて入れないところにするりと入って

上手にスコップを使って穴を掘っていた

パチンコが大好きで海物語にむちゃくちゃつぎ込んでた

すごくお金入れて悔しいから誰か信頼できる人に座って欲しいと言われたけど

それだけ入れて出ない台には怖くて座れなかったけどね

社員旅行のカラオケでイエローモンキーがかっこいいから歌いたいけど

やっぱわからないから歌ってって言われて歌ったら

時々もう一本のマイクで参加したりすごくうれしそうに聞いてた

旅行はいつもべろべろに酔っぱらってて

観光地に着いてもバスから降りずにそのまま飲んでたりするのに

函館に行ったときはすごく楽しかったみたいで

あまり酒も飲まず熱心に観光してたっけ

来てよかったぁって何度も言ってた

そんな亀ちゃんももういない

人が亡くなった時はその顔を見ないことにしている

自分の知ってるイメージをそのままに

どこか遠くで元気にやってるようなそんな感覚でいたいから

ちよこちゃん、亀ちゃんお元気で

またどこかで会いたいね